不動産取引に関する知識
第一に、「不動産取引」の概要をざっくりと学んでおくことは大切です。というのは、不動産投資の成功の8~9割は物件購入の時点で決まってしまうからです。もちろん、そのための資格を取ることは必要ないのですが、騙されたり、詐欺にあったりしないように不動産取引に関連する法律を知っておいた方が、自分の身を守るためにも重要なのです。
それでは、不動産取引に関する勉強はどのようにすれば良いのでしょうか。まずは資格から見ていきましょう。
不動産取引に関連する資格として、「宅地建物取引士」というのがあります。この資格は略称「宅建士」または「宅建」とも呼ばれます。この資格は、不動産取引法務の専門家に与えられる国家資格です。そのため難易度も高く、試験の合格率は15〜17%程度と言われています。
宅建士の有資格者は1つの事業所で5人に対して1人いればいいということになっているため、不動産会社にいる営業マン全てが宅建資格を持っているという会社は実は少ないのが一般的です。これがルール違反を犯す遠因にもなっているため、特に契約などの宅建業法が絡む時には、最低限の知識として知っておいた方が良いでしょう。
宅建士は受験勉強だけで時間をロスしてしまうので、実際に資格を取得まで勉強をする必要はありませんが、不動産業界のことや不動産取引の法律、法令上の制限など基本的なことは学んでおくことをおすすめします。土地や建物の法令上の制限によって資産価値が大きく変わることもあります。そのことを知っているだけでも物件選定の眼を養うことは可能です。宅建士の問題の解説や概要が掲載されている参考書などをパラパラと見ておくだけでも多少は役に立つと思います。
不動産業界の知識
不動産取引に関する知識を学ぶのと同時に、知っておいて欲しいのが不動産業界に関する情報です。業界ならではの慣行も意外と多いですし、不動産業界のことを知識として知っているのと実際に経験して知っているのでは意味合いが違います。
例えば、収益物件情報サイトに掲載されている収益物件は実際はそのほとんどが収益をあまり上げられることができない物件だったり、難あり物件だったりするのですが、初めて不動産投資をスタートする人は、そのことをよく知らない場合もあります。また、物件を購入していざ入居者を募集するという時に、インセンティブの広告料を支払った方が入居が決まりやすいということもあります。そうした業界の慣行や営業マンとの付き合い方を覚えておけば、不動産投資で大きな失敗をせず継続できる可能性が高くなります。
マーケティングの知識
不動産投資は、基本的に投資ではなくビジネスです。市場の流れを読みながら売り買いをするという能力より、どちらかといえば入居者(ターゲット)の動向を読み取って、入居者の求めている賃貸物件を提供するというスキルが必要になります。そのような能力を鍛えるためには、マーケティングの知識というのは非常に大切です。不動産投資家の成功者の中にも、元マーケティング部門で活躍した人や経営コンサルタントの社員、MBAなどを取得している人もいます。マーケティングの知識を書籍などで勉強をしておくと良いでしょう。
不動産実務検定(大家検定)もおすすめ
不動産実務検定、通称「大家検定」は、一般社団法人日本不動産コミュニティーが主催する民間検定です。2級、1級、インストラクターなどの種類があります。不動産投資の仕組みから、関連法規の講座、満室経営にするための手法、融資対策の事業計画書の作成まで網羅できる検定試験となっています。検定を取るというよりも知識を学ぶというスタンスで臨めば、実際の賃貸経営でも良い結果にも繋がるかもしれません。
まとめ
不動産投資は実際に経験してみないと分からないことも多いですが、事前に不動産取引や業界知識、マーケティングなどの知識を身につけておけば、不動産投資において有利に働くことは間違いありません。こういったこと面倒がらずに地道に行うことが成功するための近道とも言えます。