企業出版が、いま注目を集めています。
この企業出版は、ブランディング出版や、カスタム出版と呼ばれることもあります。また、出版コンサルタントと呼ばれる人が、本になるまでをサポートしてくれるサービスもあります。
これらのサービスに高い関心を寄せているのは、次のような経営者の方たちです。
ブランディングや集客力アップに!
- ベンチャー企業が、自社ブランディングのために
- 経営、不動産、投資のコンサルタントが、名刺代わりに
- 自社サービスの集客力・売上アップに
- 飲食店やエステ経営者が、販促ツールとして
- 士業や医師などの専門家が、権威付けに
アイデア次第で、可能性は無限!
- 経営理念を社員に伝えるための教育・採用ツールとして
- 商品・サービスのイメージ戦略で
- 企業のイベント・周年事業として
- 効果的な節税として
- 実際に出版した結果、売上の拡大や、新規の獲得につながったというだけでなく、経営者としてステージが上がっていく方も少なくありません。
業界のリーダー的存在になって、ライバル社の社長から声をかけられるようになりました
マスメディアや、セミナー講演への出演依頼が増えて、経営者として成長しているのを実感!
社員が、わたしの理念に共感してくれて、会社の雰囲気が変わった
勢いのあるベンチャー企業や、業績を拡大している個人事業主、クライアント数が伸び続けている士業の方たちが、企業出版に着目するのも、たしかに納得です。
企業出版の費用は、かなり大きな金額になります。
「本は売れるのか」「費用はどのくらいかかるのか」「印税は入るのか」「どの出版社を選べばよいか」など、疑問はいっぱいあるはずです。
実は、私は自費出版の大手に勤務し、数年間に渡って出版の相談をいただいてきました。完成した本の中には、10万部を超えるヒット作もあれば、増刷できずに終わってしまった本もたくさんあります。
ですが、企業出版や自費出版で大切なのは、「経営者や本に携わる方たち、それぞれの目的やゴールをどれだけ達成できたか」です。
そこで、この数年間の経験をもとに、企業出版や自費出版に関する不安や悩みを、少しでも払拭できたらと思い、記事にまとめさせていただきました。
最後までお読みいただけたら幸いです。
企業出版のメリットは、実にたくさんあります。書店に並んだ姿を見たとき、読者(社員やお客さんも含む)の反応を知ったとき。あなたは、さまざまなシーンで「出版してよかった」と実感できるのではないでしょうか。
ですが、なによりも大切なのは、あなたのビジネスにどれだけ貢献してくれるか、ですよね。出版の華々しい側面だけでなく、地道に売上アップにつなげていくイメージは大切です。
たとえば、エステを展開する企業であれば、自社サービスについてまとめた本を、カウンセリングに来てくれた見込み客にプレゼントすれば、会員獲得アップに貢献してくれるはずです。
コンサルタントの方や、税理士さんであれば、完成した書籍を、自社ホームページに掲載したり、名刺代わりに持ち歩くことによって、あなたの信頼を高める助けになるはずです。もしマスコミに取り上げられれば、知名度は飛躍的に向上します。
このような出版目的を、編集者や企画担当者、あるいは出版コンサルタントの方と共有しながら、書籍をまとめていくことが、企業出版を成功させるためには、重要となります。
本は売れるの? 印税は入るの?
もし、多額の印税収入を第一の目的に出版するのであれば、企業出版はやめるべきでしょう。
出版社が全額費用を負担してつくる本、いわゆる「商業出版」は、市場が求めるコンテンツを、出版社が主導して企画・編集します。著者の方の意向は優先されません。そうやって作った書籍でさえ、ベストセラーとなるのはごくごく一握りです。
それに対して、「企業出版」や「自費出版」は、あなたが、書きたいことを自由に主張できるわけです。広告では伝えきれない多くのメッセージを、書籍を通じて実現できることになります。
したがって、ヒットする書籍ももちろんありますが、印税で出版費用を、すべてカバーできるようなケースは、滅多にありません。ちなみに、最近の大ベストセラーといえば、「嫌われる勇気」(岸見一郎, 古賀史健著)。
当初は、ここまでヒットすることは想定されていませんでした。ですが、発売してみると、著名なブロガーさんの紹介や、フェイスブックやツイッターといったソーシャルメディアでの口コミを通じて、じわじわと売れていきました。
このように、ベストセラーになるものは、出版社側で意図的に仕掛けられたものでなかったりする、というのは興味深いところですね。
制作部数と印税
商業出版での、ビジネス書・実用書の初版部数は、5,000部前後が一般的です。
企業出版の場合は、書店で流通する見込み部数に加えて、自社で購入する部数(買い取り)なども考慮されて、初版が決まります。
では、気になる印税の計算方法は、どのようなものかというと、次の計算式が基本となります。
では、具体例を見てみましょう。
仮に、本の定価1,400円、印税率が10%、初版部数が5,000部だった場合の印税額は、次のとおりです。
1,400円×10%×5,000部=700,000円
これは刷り部数に対して支払われる印税の考え方ですが、「実売印税」という出版契約がかわされることもあります。これは増刷した部数などには関係なく、実際に売れた部数に対して印税を支払うというものです。
印税を受け取る側としては不利な契約内容に感じるかもしれません。ですが、出版社としてはリスクを抑えられるため、大胆な展開が可能になり、結果的に本が売れるという可能性もあります。また、実売印税のほうが、印税率が高くなるケースも多いです。
印税率や部数の考え方は、出版社によって、あるいは個々の契約によって異なります。また、企業出版の場合、自社で購入(著者買い)する部数は、印税に含まれないケースがほとんどですので、必ず確認するようにしましょう。
節税としての効果!?
本の制作費は、通常、広告宣伝費や支払手数料の項目で、一括償却できます。効果的な節税方法ともいえるかもしれません。
アイデア次第で、可能性は無限!
企業出版の目的が、営業ツールや名刺代わりだとしても、、せっかく本をつくったら、やはり書店に並んだ姿をみたいものです。そして、実際に、1冊でも多く売れてほしいものですよね。
企業出版の場合でも、ISBNコード(国際標準図書番号)がつきますので、書店流通が可能になります。
書店営業は、版元(出版社)の営業担当者が直接、店舗に足を運んだり、FAX営業といって、FAXで書店に新刊案内を行ったりします。
また、日販、トーハンなどの取次が、「配本」といって、書店に適正と思われる部数をばらまくこともあります。こうなると、大きな展開が期待できます。
書店での平積みと棚差し
紀伊國屋書店、丸善、ジュンク堂書店、ブックファースト、三省堂など大型書店は、ぜひ、完成した本を並べたいところ。駅前の小さな書店もありますが、ビジネス書はこうしたところではほとんど売れません。雑誌、コミック、参考書、文庫本などが中心です。
書店での陳列は、大きく分けて「平積み」と「棚差し」に分けられます。
とても目立つので、ぜひこのようなに並べてほしいですが、競争率の激しい陳列場所。一等地ですので、ランキングに入るような売れ筋、売れそうな新刊が平積みされます。平積みされて、さらにPOPなどがつけられると、注目度がいっそう高まります。
上の写真で、本棚の中に収まって、背表紙だけが見えている状態が「棚差し」です。ここは売れ筋以外の新刊や、ロングセラーなどが並びます。
わかりづらいですが、写真左下に写っているのは、経営者のバイブルともいうべき「ザ・ゴール(エリヤフ・ゴールドラット著)」。こんな名著ですら、ここでは棚差しでした。このような状態ですから、棚差しであっても、本を置いてもらえること自体、大変、ありがたいことです。
ただ、どの場所に本を並べるかの判断は、各書店の売り場担当者が決めますので、企業出版であっても、目立つ場所に置かれる可能性は、十分にあります。
アマゾン(amazon)、楽天ブックス、hontといったネット書店も、大きな存在です。書店はスペースに限りがあるため、売れなくなった本は、書店から消えていきますが(返本)、ネットならそのようなことはありません。
あなたの顧客が、たまたま「あなたの会社の名前」や「社長の名前」を検索したときに、アマゾンで本が販売されているのがわかると、顧客からの信頼度も、グンと上がることでしょう。
書店での流通
本の仕様・印刷代
- ページ数が増え、特にカラーページが多くなり、ハードカバーで、装丁や紙、造本にお金をかければ、制作費用は高くなります。ただし、一般的なビジネス書は、四六判やB6判のソフトカバー、帯付き、本文モノクロのシンプルなものが多いので、特別なものを希望しない限り、あまり気にしなくてよいでしょう。
新書タイプの場合、制作費用そのものは安いですが、中央公論新社、講談社現代新書のように統一の装丁にして、出版社ごとに棚で並べて扱うのが、書店では一般的なため、企業出版ではあまりおすすめしません。
制作コスト
企画や編集、ライティングや取材やデザインなどの制作に関わる費用です。これによって支払うお金は全く違ったものになります。
最も安いのは、社長やプロジェクト担当者が、自分自身で原稿を執筆し、これを出版社が編集・校正する方法です。
ですが企業出版の場合は、社長が口述したものをライターがまとめたり、自社の社員や取引先に取材したり、カメラマンが撮影したり、図版やグラフなどの資料を書き起こしたりするケースがほとんどでしょう。
ライターやカメラマンもピンきりですので、求めるレベルやスキルによって金額が変わってきます。
そのほか、表紙に巻かれている帯への推薦コメント(帯文)には、有名な方に頼むと数万円程度からの謝礼が発生する場合もあります。ただ、本の売れ行きや、書籍の陳列場所にも影響することがあるので、制作過程で相談してみるといいでしょう。
気になる企業出版の費用
契約する出版社によって、企業出版の費用は全く異なります。
仮に、同じ仕様、同じ制作内容で見積もりを取ったにもかかわらず、数百万円の差がつくことも珍しくありません。
この数百万円もの差とは一体、何でしょうか。
それは、出版社のブランド力の差です。つまりは、ただの出版社の知名度に過ぎません。
実際、見積もりの差に驚き、その理由を尋ねてみると、知名度の高い出版社は「編集力の違い」を強調してくるかもしれません。
ですが、企業出版の編集部は、本体の商業出版の編集部とは全く別物です。経験の浅い若手編集者が担当になるケースも非常に多いです。
知名度の高い大手出版社の企業出版部門だからといって、良い本ができる、ましてや本が売れるなどと安易に考えるのは、失敗の元です。
出版社のブランド
企業出版を行っている出版社の数は、非常に増えました。そのため、どこで出すべきか迷ってしまうと思います。
ただ、「これだけは絶対にやらなければいけないぞ」というのは、一点だけ。複数の出版社を比較することです。
もし、あなたの部下が、業者に仕事を依頼するときに、相見積もりをまったく取らなかったら、経営者としては怒りますよね。企業出版も同じです。
前述したとおり、企業出版の費用は、出版社によって大きな差が生まれます。知名度の高い高い出版社では、1冊出すのに、1,000万円前後かかる場合も少なくありません。
ですが、複数社を比較して相談すれば、具体的な値下げ交渉が可能になります。
出版社の選び方
自費出版可能な出版会社
- 創りたい、残したい、伝えたいというユーザーの希望を、本の出版という形で応えている文芸社様のまずは資料請求っからしてみると良いかと思います。
- 毎週、全国各地で参加無料の個別相談会、本づくりセミナーを開催しており、
- 手厚いサポートも行っています。