社会人になるとき、もしものときのためにと両親が医療保険などに加入していたり、会社から勧められてよくわからないまま保険に加入している人もいるかもしれません。
30代は生活スタイルや環境が変わる時期でもあります。
ライフステージの変化に伴い、保険の見直しを行ってみてはいかがでしょうか?
ライフステージ別に、保険を見直す際のポイントについてご紹介します。
30代はこんな世代
まずは、保険の見直しに先立って30代という年代の特徴を知っておきましょう。
これから結婚や出産をする人が増える
厚生労働省の平成27年の調査によれば、初婚、再婚など全ての婚姻の平均婚姻年齢は、
男性が33歳、女性が31歳となっていました。
30代はまさに、これから結婚や出産を経験し、家族構成が大きく変わり始める年代といえます。
一方で、独身のまま40代、50代に移行する人も少なくありません。
ライフプランがまだ未確定
30代に突入すると、今後の自分の人生について考え始める人も増えてきます。
その結果、独身から既婚への変化の他にも、転職をして都心から郊外に移住するなど、ライフプランが大きく変わる可能性が高い年代でもあります。
貯蓄も必要だが、今の生活費も大切
厚生労働省の調査によれば、30代の年収の平均値は約450万円でした。
月額では、24万円から28万円が最も多い額となっています。
ボーナスを別として、月額24万円から28万円を手取りに換算すれば、20万〜23万くらいです。
独身・既婚者問わず、なかなか貯蓄や保険に収入を割けない人も少なくないのが30代の特徴のひとつです。
30代では、あまり貯蓄の負担を増やしすぎず、今の生活の質を維持することも大切です。
保険の見直しや切り替えを検討するタイミング
30代になったからといって、必ずしも保険の見直しや切り替えを行う必要はありません。
大きく環境が変わったときが保険の見直しや切り替えのいいタイミングなのですが、
具体的には以下のような環境の変化があったときがそのタイミングです。
加入している保険を長期間見直していない
新卒のときに保険に加入し、それ以降一度も保険の見直しをしていないなど、長期間保険の見直しをしていないのならば、見直しのタイミングです。
明確に何年ごとに見直すべき、という基準があるわけではありませんが、20代頭の自分の状況と30代の状況では、収入や貯蓄額、健康状態なども異なります。
また、保険料も年齢に合わせて上がっていきます。例えばオリックス生命の新キュア・終身払込でシミュレーションしてみましょう。
入院給付金が日額5,000円の医療保険の場合、20歳男性では月額1,222円の保険料ですが、30歳になると1,582円です。
さらにがん特約をつけると3,042円など、特約を追加すればさらに保険料が上がります。
長期間保険を見直していない場合は、保険料の値上げも含めて、見直しのタイミングといってもいいでしょう。
結婚したとき
後ほど詳しく解説しますが、独身時と既婚時では、つけておきたい保障が大きく異なります。
結婚して世帯の稼ぎ頭になったときには、自分に万が一のことがあったときに家族を守るための保障をつけておきたいものです。
一方で、独身の場合はその保障は必要ありません。
結婚したときも、保険を見直すタイミングです。
サラリーマンから自営業に変わったとき
サラリーマンから自営業に変わった、または自営業からサラリーマンになったなど、労働環境が大きく変わったときも保険を見直すタイミングです。
自営業の場合は、ケガや病気で長期間入院したり働けなくなったときの公的なサポートがほとんど期待できません。
既婚者、独身者を問わず、自営業の場合は自分の身を身分で守るために保険を活用する必要があります。
家を購入したとき
住宅を購入し、住宅ローンを組んだときも保険を見直すタイミングです。
フラット35では義務ではありませんが、多くの住宅ローンでは「団体信用生命保険」という保険に加入することが借り入れの条件になります。
この団体信用生命保険(通称:団信)は、契約者が死亡、または高度障害などの状態になってしまったときには、その後の住宅ローンの返済を免除するという特約がついているのです。
団信の中には、がん特約などをつけることもできます。
そうすると、契約者に万が一のことがあったとしても、住宅ローン相当分は他の保険でまかなう必要がありません。
家を購入する前に大きな死亡保障をつけているのであれば、一度見直しておきたいところです。
30代独身が保険を見直すときのポイント
次に、既婚者や独身者など、状況別に保険の見直しのポイントについてご紹介します。
まずは独身者の場合です。
独身の場合は実家暮らしか一人暮らしかによっても若干別れてきます。
実家暮らし、または両親の経済的援助をしている人は、既婚者に準じて、自分以外の人のための保障がある程度必要になります。
ただ、30代であれば両親もまだ若く現役であることも多いため、既婚者ほどの手厚い死亡保障は必要ないでしょう。
死亡保険は基本的に不要
独身の場合は、何かあったときにその後の生活を守らなければならない人がいません。
そのため、基本的に死亡保険をつける必要性はかなり低くなります。
中には、「葬儀代だけでも出せたら」ということで、医療保険に少額の死亡特約をつける人もいます。
「残された人のために」というよりも、「自分が亡くなった後にできるだけ迷惑をかけないために」という目的で死亡保障を考えるとよいでしょう。
医療保険は必要に応じて
医療保険に加入すると、入院給付金や手術給付金が受け取れます。
入院時や手術時には、差額ベッド代や交通費など、なにかとお金がかかるもの。
そういった出費をできるだけ抑えたいのであれば、最低限の保障がついている医療保険に加入しておくのも一つの方法です。
また、ペットを飼っている人は、入院時にはペットホテルや知り合いに預けなければなりません。
そのための費用を医療保険でまかなうことも検討したいところです。
心配ならがん特約ではなくがん保険を
がん保険については、手厚い保障が必ずしも必要ということはなさそうです。
国立がん研究センターによるがん統計によれば、男性、女性ともに40代以上でがんの罹患や死亡率が多くなる傾向があります。
しかし、乳がんなど、罹患する年齢が低年齢化しているものもあります。
それに、がんになる原因はまだ解明されておらず、絶対にがんにならないという保障はありません。
心配な場合は、医療保険のがん特約をつけるか、もしくは独立してがん保険に加入することになります。
医療保険のがん特約をつけるのと、医療保険と別にがん保険に加入する場合とでは保険料が大きく異なります。
先ほどのオリックス生命のケースを見てみましょう。
一般的な医療保険に、がん一時金特約を100万円、がん通院特約を付加した場合、月額保険料は3,247円です。
一方、医療保険の特約ではなく、がん保険ビリーブを新たに追加した場合、月額保険料は合計で4,472円となります。
保険料が家計にどれくらいの負担になるのかなども合わせて、がん保険にするのか、がん特約のままいくのか、そもそも対処するのかを検討したいところです。
既婚者の場合
30代既婚者の保険見直しに関して押さえておきたいポイントを、ケース別にご紹介します。
収入の柱になっている人の保険
一家の大黒柱になっている人の保険については、その人に万が一のことがあったときに備えて、死亡保障を手厚くしておきたいものです。
30代夫婦であれば子どもはまだ小さいため、子どもが成人するまでの学費や生活費などを死亡保険の保険金でカバーしたいとなると、ある程度高額の保険金額を設定しておきたいところ。
文部科学省の調査によれば、公立中学校、公立高校の学習費の総額は年間で約40万円前後でした。
一方私立となると年間100万円を超えています。
仮に子どもが中学1年の時点から考えると、高校卒業までに公立で240万円、私立であれば600万円以上の学習費が必要になります。
さらに、大学の費用や生活費などを考えると、数千万円は設定しておきたいところです。
また、夫婦の一方が専業主夫や専業主婦の場合には、その後の生活費も考えておきたいもの。
子どもだけでなく、配偶者のためにも死亡保障を手厚くする必要があるかもしれません。
専業主婦やパートなど、家計をになっていない人
専業主婦、または主夫やパートなど、世帯の収入にあまり影響しない側の人については、死亡保障はそれほど必要ありません。
ただ、家事をする割合が増えることが考えられますので、入院給付金などがもらえる医療保険があると安心です。
メインで家事を担当する人が入院などでいなくなる場合、家事代行サービスを利用したり、外でご飯を食べることなどが増える可能性があります。
また、お見舞いにくるときの交通費などの出費に関して医療保険でカバーできると安心という考え方もあります。
ただ、もしもの際の緊急性は低いため、医療保険に加入せずに貯金しておくという方法もあります。
共働きの世帯では
共働きで、夫婦の一方に何かがあったときでも、もう一方が家計をカバーできるのであれば、死亡保障はそこまで大きくする必要はないでしょう。
また、お互いに仕事を持っているため、基本的には子どもの経済的なサポートを重視できるのが共働きのメリットです。
例えば、オリックス生命の死亡保険の場合、30歳男性が契約者・保険金額が3,000万円・保険期間が60歳までとすれば、月払保険料は5,195円です。
もし保険期間を20年満了にした場合、保険料は4,046円という計算に。
保険料をあまり上げたくないということであれば、子どもが成人するまでの20年間と割り切って死亡保険を活用するという方法もあります。
自営業者は保険を上手に活用しよう
自営業の人は、サラリーマンなどの給与所得者と比べて公的なサポートが少ないため、民間の保険をうまく活用したいところです。
自営業なら医療保険を活用したい
サラリーマンの場合は、病気やケガでの入院、休業については、社会保険や雇用保険がサポートしてくれます。
仕事に関することでケガをした場合は労災保険がおりますが、実は仕事と関係ない病気やケガについても、健康保険に申請すれば傷病手当金が受け取れます。
しかし、自営業の人は公的な雇用保険にも加入しないうえ、国民健康保険には傷病手当金の制度がないため、こういった公的保険のサポートは基本的に受けられません。
そのため、サラリーマンに比べて医療保険の必要性が高まります。
特に、入院や通院で仕事ができないと、自営業の場合は即収入に直結します。
売上を補填するという意味でも、入院給付金は1日あたり5,000円よりも10,000円やそれ以上の金額にしておくといいでしょう。
遺族年金も少ないので死亡保険も手厚めに
遺族年金とは、亡くなった人が経済的に面倒をみていた人が受けとれる年金です。
実は、自営業はサラリーマンに比べて遺族年金の額も少ないので注意したいところです。
遺族年金には、遺族基礎年金と遺族厚生年金があります。
サラリーマンの場合はこのどちらもが給付対象になりますが、自営業は遺族基礎年金のみが給付対象となるのです。
そのため、自営業で子どもまたは妻がいるような場合には、死亡保険の保険金の額も見直しましょう。
30代の時点で個人年金に加入したほうがよい?
公的年金だけでは老後の生活が不安だとして、個人年金に加入する人が増えています。
この個人年金、貯蓄と同じなので、できれば早いうちから加入しておきたいところではあります。
払込期間が長い分だけ、月々の負担も減ります。
しかし、30代で個人年金に加入しないほうがいいケースもあります。
基本的に個人年金は老後のための資金なので、学資保険や生命保険などに比べると、優先度や緊急度がどうしても低いもの。
そのため、結婚したばかりで収支が不安定、今後の見通しがまだ立たない状況では、家計が苦しいからと個人年金を解約する可能性があります。
他の保険も同じですが、払込期間が短いとそれだけ返戻金も少なく、元本割れしてしまうものです。途中解約すると、単純に損をするのです。
早くから加入するに越したことはない個人年金ですが、30代で個人年金を検討するのであれば、子どもがある程度大きくなって落ち着いた、家計も安定してきたくらいのタイミングで検討しましょう。
まとめ
30代の人たちが保険を見直すときのタイミングや、ライフステージ別のポイントについてご紹介しました。
30代はまだまだ今後の動きが読み切れない時期でもあります。
独身と既婚とでは、死亡保険や医療保険など、重視しておきたい保険が異なります。
また、自営業の人も保障内容には注意したいところです。
優先度が高いものと低いものをしっかり見極めて、賢く保険を活用してくださいね。