公務員は保険見直しが必要?共済の特徴と見直したほうがいい人を解説

公立学校の教師や自治体の職員など、公務員の多くが共済組合に加入しています。

ただ、民間の生命保険に加入したほうがいいのでは、と保険の見直しを検討している人もいるのではないでしょうか。

共済組合ではなく民間の保険に加入したほうがいい人はどんな人なのでしょうか?

今回は、共済組合のメリットやデメリットを交えつつ、公務員の保険見直しポイントについてご紹介します。

公務員の多くが保険に無頓着?

公務員の多くが、団体保険である共済組合に加入していますが、どんな保障がついているのか、どう役立つのかをしっかりと把握して自分で選んだという人は少ないのではないでしょうか。

その理由は大きく2つあります。

自分のライフプランが定まっていない時に加入した

公務員になったときに、周りから勧められて共済に加入したという人は多いです。

一度共済に加入してしまえば、掛け金も安いため負担に感じることもなく、「とりあえず何かあったときにも安心」という心理になるため、なかなか見直すきっかけがありません。

セールスレディが職場に来るので気楽

民間企業も同じですが、公務員の場合も、職場に保険のセールスが定期的にきます。

自分で保険を探すとなると、保険の資料を取り寄せ、比較検討して申し込む前には担当者に相談して…という手間がかかります。

しかし、セールスレディが来てくれるのなら、手続きも仕事の合間にお願いできます。

そういった便利さもあって、ついそのまま共済に加入しているケースも多いようです。

公務員の保険見直しポイント

保険の見直しをしたほうがいいかも、と思っても、どこを見直したら良いか漠然としている人はいませんか?

まずは、公務員が今加入している保険を見直すときのポイントをご紹介します。

保障が重複していないか

公務員の方の多くは共済組合に加入していますが、民間の生命保険や医療保険に加入している人も多いでしょう。

例えば、手厚い死亡保障が付いている保険に加入しているけれど、家を購入して住宅ローンを払っているのなら、保障が重複している可能性があります。

住宅ローンを契約するときに「団体信用生命保険」という保険に加入していたら、生命保険を見直しましょう。

団体信用生命保険に加入すると、契約者がガンや高度障害の状態になったときには、それ以降の住宅ローンの返済が免除になります。

ということは、もしも万が一のことがあったとしても、住居にかかる固定費はかからないということ。今加入している死亡保障、もっと額を減らせるかもしれません。

必要保険額を割り出そう

あまり深く考えずに保険に加入している人は少なくありませんが、保険を見直すときに大切なのが必要保険額です。

特に公務員の場合は、互助会や短期給付など、医療に関する保障が手厚いため、もしもの時に必要な保険額が少ない傾向があります。

また、死亡保障についても必要保険額を割り出すことが大切です。

遺族には遺族年金が支給されますが、公務員の場合は遺族基礎年金に加えて遺族共済年金が支給されます。

例えば、平均標準報酬月額が50万円で遺族が配偶者と未成年の子供の場合、遺族には月額145,376円が支給されることになります。

さらに、住宅ローンを払っていて団体信用生命保険に加入していれば、住居費も払わなくて良いことになります。

その上、配偶者が仕事を持っている場合には、死亡保険は思ったほど手厚くなくてもよいかもしれません。

福利厚生でカバーできる範囲を知る

公務員は福利厚生が民間企業や自営業よりも手厚いことに触れました。

共済組合の他に、職員互助会などもあり、共済組合では医療保障や年金、貯金などにも対応しています。

一般的に保険に肝油する目的は大きく2つで、ひとつが万が一の保障、もうひとつが貯蓄です。公務員の福利厚生でどれくらいカバーできているのかは確認しておきたいところです。

知っておきたい共済組合のしくみ

さきほど、短期給付と長期給付という言葉が出てきました、共済組合には加入しているけれど、その中身を詳しく知らないという方も多いのではないでしょうか。

ここでは、共済組合のしくみについて簡単にご紹介します。

共済組合のしくみ

共済組合は団体保険となっていて、該当する組合員以外は加入することができません。

団体で加入することで、一人当たりの掛け金を低く済ませる仕組みになっています。

共済組合の種類

共済組合は、大きく分けて国家公務員、地方公務員、私立学校教職員の共済組合に分かれます。

国家公務員共済組合は、さらに短期給付、長期給付、福祉事業に分かれています。

・短期給付とは

短期給付は、医療保険のようなものです。

組合員だけでなく、被扶養者が病気、けがのほか、出産や死亡の際にも給付金が支給されます。

・長期給付とは

長期給付というのは、年金制度のことです。

先ほど触れた遺族年金のほか、障害年金なども長期給付にあたります。

・保険事業とは

保険事業を利用すれば、定期健診や人間ドッグなどを利用するときに補助が出るなどのサポートを受けられます。

共済の4つのメリット

共済組合に加入するメリットはどこにあるのでしょうか?

大きく4つのメリットをご紹介します。

掛金が安いまま一定

例えばある共済の場合、入院給付金が日額1万円、通院保障と手術保障、死亡保障がついたもので月額2,500円のものがありますが、この掛け金は年齢や性別にかかわらず一律の金額です。

一般的な民間保険は、年齢によって支払保険料が大きく変わります。

例えば、アフラックの医療保険で30代男性、入院給付金が日額5,000円の商品だと、通院保障をつけて毎月1,875円の保険料ですが、同じ内容でも40歳では2,455円です。

さらに60歳では5,795円となり、年齢が高くなるほど保険料も上がります。

しかし、共済組合なら保険料が変わりません。

高齢になっても負担が増えないというメリットがあります。

家族を扶養にできる

共済組合に加入している人の被扶養者に認定されると、掛け金を負担せずに疾病や負傷、出産給付金などが支給されます。

これは民間の医療保険や生命保険には見られません。

被扶養者になれるのは、共済の加入者と生計を一にしている配偶者や子供、両親や兄弟姉妹なども含まれます。

また、内縁関係であっても被扶養者になることができる共済もあります。

割戻金がある

保険もそうですが、共済も、加入者の支払う掛け金を資産として運用を行います。

運用の結果利益が出た場合、割戻金として加入者に還付される仕組みになっています。

民間の保険でも、このような割戻金が設定されているものもありますが、設定がないものもあります。

額は少ないうえ、利益が出なければ還付は見込めませんが、メリットの一つとして加えておいてもよさそうです。

共済の弱点

次に、共済組合の弱点についてもご紹介しましょう。

貯蓄型が少ない

共済組合の保険は安価ですが、これは貯蓄性がなく、掛け捨てだからです。

学資保険や生命保険など、民間の保険の中には貯蓄性の高い保険もあり、将来の保障プラス貯蓄という目的で保険を利用することもできますが、共済の場合は貯蓄性に期待することはできません。

終身保障がない

共済には終身も出てきていますが、例えば都民共済など、終身にわたって保障が続くプランがないものもあります。

保障が続く間は掛け金も安く利用しやすくても、保障期間が切れてしまったとは何の保障もないことに。

保障が続く期間は共済によっても異なりますが、都民共済の場合は85歳です。

現在の日本人の平均寿命は男女ともに90歳に近づいており、85歳までしか保障されないのは少し不安が残るかもしれません。

死亡保障が弱い

安い掛け金の共済に加入すると、死亡保障がほとんどついていません。

例えば地方職員共済組合の場合、公務に関係ない死亡や被扶養者が死亡したときには、埋葬料として一律5万円の支給となっていました。

この点も一つの弱点といえそうです。

死亡保障が心もとないと感じる方は、保険の見直しをしたほうがよさそうです。

カスタマイズが難しい

民間の医療保険であれば、子供が生まれたら死亡保障を手厚くし、特約を多めにつける、女性であれば女性特有の疾病について特約をつけるなどのカスタマイズが可能です。

しかし、共済は民間の医療保険に比べると画一的で、柔軟なカスタマイズが難しいもの。

例えば、死亡保障を手厚くしたいと思ったら別のプランに加入することになるなど、やや手続きも不便です。

ライフプランに応じたカスタマイズが難しいところも共済の弱点といえるでしょう。

民間保険に見直したほうが良い人

ここまで、共済のメリットや弱点についてご紹介しました。

共済には多くのメリットがあるものの、公務員だからといってすべての人に最適なものというわけではなさそうです。

では、どういった人が共済を見直して民間保険の加入を検討したほうが良いのでしょうか?

民間保険に見直したほうが良いのはこのようなケースです。

子供が小さく、死亡保険金の必要性が高い

子供が生まれたばかり、まだ小学生になったばかりなど、小さい子供がいる家庭では、家計を担う人に万が一のことがあったときに備えて死亡保障を手厚くしておきたいものです。

文部科学省の調査によれば、小学校から高校まで、私立学校に通わせると年間100万円以上の学習費がかかるというデータも出ています。

大学進学になるとさらに費用がかかりますので、子供が大学を卒業して社会に出るまでにかかるお金に相当する額は死亡保障をつけておきたいところです。

子供が小さいうちは、死亡保障をつけておくと安心です。

公務員は福利厚生がしっかりしているため、医療保険はさほど手厚くする必要は低いでしょう。

そこで考えられるプランとしては、共済+生命保険に加入することです。

死亡保障は主に子供に何かあったときのために加入するものなので、終身にはせず、子供が大きくなるまでを想定しておきます。

仮にある保険で30歳男性で3,000万円の死亡保障をつけ、保険期間を55歳までとした場合、月額保険料は5,380円となります。

もしも子供が10歳以上なら、保険期間を10年にしてもよいかもしれません。

そうすると、月額保険料は3,430円でおさまることになります。

共済と合わせても、月額1万円にはいきません。

終身保険に入りたい

共済にも終身保険を扱っているところはありますが、団体によっては終身保険のプランがないことも。

そこを気にせずに共済を利用していると、高齢になった時点で一切の保障がないという事態にもなりかねません。

一般的に、高齢になるほど民間の保険には加入しづらくなります。

また、過去の病歴によっては保険の加入を断られるケースもあるので、終身保険に入っておきたいという人は、早い時期に保険を見直しておきたいところです。

30代、遅くても40代までには保険を見直しておきましょう。

何かあった時に自由診療を希望する

共済保険には、短期給付といって、組合員証を提示すれば一定額を限度に治療を受けることができます。

一般的には、同一月、同一医療機関での診療が25,000円までが自己負担となっており、それ以上の医療費がかかった場合は払戻されます。

しかし、どんな医療でもこの上限で受けられるわけではありません。

例えば公的保険の適用が認められない自由診療は、公的保険もききませんし、共済組合に加入していたとしても払戻の対象外となります。

何かあった時に自由診療を受ける可能性が高い、と考えられる人は、共済ではなく、民間の医療保険を見直しておいたほうがいいでしょう。

共済保険が向いている人

逆に、共済保険が向いている人はどのような人なのでしょうか。

ここでは、3つのパターンをご紹介します。

・死亡保障がいらない

子供がある程度大きくなって自立したから、高額の死亡保障は必要ないという人。

また、独身で守る家族がいないため、もし死亡した時には葬儀代くらいが出れば良い、という人は、共済でも問題ないでしょう。

・保険にお金をかけたくない

ある程度まとまった貯蓄があり、万が一の時は貯蓄で何とかなるという人は、あまり高額の保険に加入する必要はありません。

また、保険に毎月高いお金を払いたくない、と考えている人も、共済で十分かもしれません。

ただ、その場合でも保障期間がいつまでなのかはしっかりと把握しておきたいところです。

・老後の保障が不要

共済は保障期間に上限があるとお伝えしましたが、老後のための貯蓄が備わっていて、老後の保障に必要性を感じないという人も、共済で十分かもしれません。

歳を重ねるごとに病気やケガのリスクは高まりますが、70歳以上の場合、公的保険に加入していれば医療費の自己負担は2割です。

所得が高い人は3割負担ですが、所得が高いのでさほど問題ではないでしょう。

自分に合った保険、どこで探せばいい?

共済を見直したい、と思ったとしても、これまで保険について考えたことがなければ、どこで保険を探したらいいのか全くわかりませんよね。

自分に合った保険を見つけるのはとても大変そうなイメージもあります。

もしもめぼしい保険が見つかっていないのなら、複数の保険を扱っている代理店に行ってみるのも良い方法です。

イオンや百貨店などには、たいてい保険の代理店が入っていますが、こういった代理店では常時30以上の保険を取り扱っているところも少なくありません。

保険だけでなく、ライフプランそのものから見直したいという人にも幅広く対応しています。

店舗に行くことが難しければ、自宅や職場に担当者が来てくれる代理店も多くありますので、まずはこういったサービスを利用してみるのも良い
方法です。

ただ、本当に自分に合った保険を紹介してくれる担当者かどうかというのは見極めが必要。

勧められる保険に即決しない、自分でもある程度基本的な知識を入れていくなどの準備は必要です。

まとめ

公務員が保険を見直す必要性についてご紹介しました。

公務員の方の多くが加入している共済ですが、掛け金が安い一方で、死亡保障が薄い、貯蓄性がない、保険期間に限度があるというデメリットがありました。

このあたりをデメリットだと感じない人にとっては、共済は使い勝手の良い保障といえるでしょう。

しかし、小さい子供がいるなど、死亡保障を手厚くしておきたいような場合には、共済そのものを見直すか、死亡保険を加えるといった見直しが必要です。

保険はいつでもどんな状態でも加入できるわけではありません。

一般的に、高齢化すると加入そのものが難しくなることも。保険の見直しをするなら、30代から40代のうちにしておくことをお勧めします。

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