【アパート1棟 vs マンション1部屋】最初に投資するならどっち?

不動産投資をはじめる際、まずはマンションの区分所有から始めてみようという人と、最初からアパートの一棟所有しか考えていない人がいると思います。そこでマンション経営・アパート経営にはそれぞれどういったメリット・デメリットがあるのか、特徴を比較してみました。

アパート1棟とマンション1部屋のメリット・デメリット

アパート1棟マンション1部屋
価格高い安い
利回り高いものが多い低いものが多い
始めやすさ高額のため始めにくい比較的に安価のため始めやすい
手間戸数が多く手間が多い管理会社が不要なほど楽
ランニングコスト木造が多いため高くなりがち1部屋だけであるため安い
資産価値木造なら年々価値は下がる賃貸需要があれば資産価値が保たれる
リスク空室リスクを分散できる空室時は利益がゼロになる
出口戦略売却しづらい売却が簡単

アパート1棟所有

アパートの場合、一般的に建物一棟+土地を所有します。表面利回りはマンションと比べると高めで、複数戸の経営となるため管理の手間はかかる分、効率よく家賃収入が得られるのがアパート経営の特徴です。

土地を所有できるのは大きなメリットですが、建物にかかる減価償却費を利用した節税効果は得られにくくなります。さらに、木造アパートは老朽化が早く、シロアリ被害のリスクや、火災や地震・台風などの災害にも弱いため、マンションと比べて天災リスクや修繕費、また防犯面でのリスクを含めて管理コストは高くなりがちです。特に中古アパートの場合はフルリフォームやリノベーションも視野に入れた上での投資判断も必要になるでしょう。

マンション1部屋所有

マンションの場合、1部屋から区分所有ができます。自己資金はアパート一棟よりは低めですが、ある程度は必要です。また、管理の手間はかかりにくく節税効果もあるため、初心者やサラリーマンの副業として始めやすいのがマンション経営の特徴です。

ただし、入居者次第で収益は0か100になるため、収益物件としてのリスクは高く、金融機関からの融資も当然受けにくくなります。

利回りは管理費・共益費・修繕積立金がかかるため、低めになります。1部屋のみの所有の場合、空室になれば管理費等の分は赤字になるリスクがあります。そのため、収益目的ではなく税金対策として所有するサラリーマンも多いです。

マンションは既に管理会社と提携しているのが一般的で、手間のかかる業務を管理会社に委託しやすく、さらに設備等の耐久性の面でも価値が落ちにくいため、老朽化が進みやすいアパートと比べて長期的な運営や売却しやすいメリットがあります。

アパート1棟とマンション1部屋の優劣は「物件」で決まる

前述のアパート1棟とマンション1部屋の違いは、あくまで一般的論として考えたほうが良いでしょう。何故なら物件により「これならアパートのほうがいいな」とか「マンションのほうが断然稼げる」というケースがあるためです。

具体的に考えてみましょう。例えば、利回りについてです。以下は不動産情報サイト「LIFULL HOME’S」にて掲載されていた一都三県にある物件です。

AマンションBアパート
価格630万円6,180万円
築年数35年4年
駅徒歩9分10分
利回り8.00%7.20%

築年数や価格こそ違いますが、普通なら築年数が新しいBアパートのほうが利回りは高くなるはずです。しかし実際は築年数が古いマンションのほうが利回りは高くなっています。

この違いは地域性です。Aマンションは東京都内のスーパーやコンビニなどもある利便性の良い場所にあります。対するBアパートは、駅徒歩がAマンションとほぼ同じです。しかし線路に極めて近いため騒音が懸念され、更に近所にお店が非常に少ない寂しい地域の物件です。

鉄骨鉄筋コンクリート造のマンションなら耐用年数も長いため、室内をリフォームさえすれば十分に賃貸需要が見込めます。上記のような比較をした場合は、マンションのほうが利回りは高くなるのです。

アパート1棟とマンション1部屋の優劣は、儲かる物件かどうかを必ず勘案しましょう。物件を買った瞬間に成功か失敗かのほとんどが決まるのです。

アパート・マンションの両方で考えておくべきリスク

では、アパート1棟かマンション1部屋か優劣を考えた時、具体的に何に気をつけるべきでしょうか。もちろんアパートとマンションでは投資対象としての性質が異なりますので、一概には言えません。ただ少なくとも、不動産投資という視点で考えると以下のリスクは共通しています。

【家賃の下落とコストの増加】
アパートもマンションも、築年数が経過すれば見た目も質も悪くなります。そのためいつか必ず家賃を下げたり、修繕を行ったりすることが度々発生するようになります。
【金利上昇や増税による収益悪化】
不動産投資ローンを利用する前提なら、金利が一定ではないことは最初に肝に銘じるべき重要なリスクです。低金利政策がいつまでも続くとは限りません。また、不動産投資で儲けが出ると、所得税や住民税が高くなります。不動産投資前にはなかった固定資産税もかかります。実質的な増税ですから、自身の担税力を予め把握しなければなりません。
【人口減少と賃貸物件の乱立】
日本の人口が減少していく事実についてはご説明するまでもないかもしれません。ただ人口が減少するにも関わらず、賃貸物件が増え続けていることが問題視されています。つまり賃貸物件は「供給過多」なのです。

一時、相続対策によるアパートの急増が騒がれましたが、未だ賃貸物件は増え続けています。当然、賃貸物件が多ければ多いほど空室の可能性は高くなるため、他物件との差別化は避けられない課題です。

アパート1棟もマンション1部屋も投資前にシミュレーションを

最初に投資するならアパートかマンションかという問題は確かに悩ましいところですが、もう一つ共通する大事なこととして、「不動産投資をするなら必ず事前のシミュレーションを行う」というのがあります。

もちろんシミュレーションすれば絶対に成功するものではありません。所詮は机上の計算でしかありませんので、予想外の出来事で出費が嵩むなんてことは十分に考えられます。

逆に言えば、だからこそ最初に最低限のシミュレーションが大事なのです。不動産投資を始める前に行うシミュレーションとは、主に以下のようなことです。

  • 家賃はいくらで設定するのが妥当か
  • 利益に対してランニングコストや税金はどのくらいになりそうか
  • 投資した金額をどのくらいで回収できそうか
  • 空室が発生した時にローンの返済が続けられそうか
  • 将来的に売却するのと長期保有で利益を得るのとではどちらが儲かりそうか
  • など

つまり、物件選びの段階から将来に至るまでの「利益」「コスト」「リスク」など全てを含めた一つの計画を立てることが大事です。アパート1棟もマンション1部屋も、シミュレーション無くしては失敗確定と考えたほうが良いでしょう。投資というのは目先の勝ち負けだけではなく、計画や戦略こそが勝敗を分けるのです。

まとめ

不動産投資はよくミドルリスク・ミドルリターンと言われますが、収益性や各種リスク、管理の手間などから総合的に考えると、金持ち大家を目指すならハイリスク・ハイリターンなアパート経営、税金対策目的や手軽に始めたい初心者向けといった面ではローリスク・ローリターンなマンション経営と言えるかも知れません。

昨今、都市部では大手デベロッパーによりアパートが乱立しており、地方都市では少子化が進むなど地域や物件選びは非常に難しくなっています。アパート経営もマンション経営もそれぞれメリット・デメリットがありますので、自分の投資目的に合った最適な物件を探してみてください。

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